The Business Support Report 平成28年5月2日号
社労士法人第3弾は、雇用契約についてです。最近は、身近に相談できる労働組合が存在しない事やインターネットにおける情報氾濫の影響で、「雇用契約書に判子を押した覚えが無い。これは法律違反ではないのか?」といった類の相談や苦情が寄せられることが多くあります。従って雇用契約についての法律関係から整理していきたいと思います。雇用契約は、民法623条から625条に規定されています。民法では「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する事に、その効力を生ずる。」(623条)「労働者は、その約した労働が終わった後でなければ、報酬を請求できない。」(624条)と定めてあるのみです。
このように民法は、労使の対等な立場を前提としているので、現実には特別法としての「労働契約法」の規定に従うことになります。その「労働契約法」ですが、「労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする。」(4条②)と定められているのみです。このように民法、労働契約法では、雇用契約(労働契約)について、極めて簡単な規定しか記載されていないのが現実です。従って、法律的には労働契約書の書面による締結は法律上どこにも規定がありません。従って労働契約書に判子を押さなくても両者の合意により労働契約は成立しています。
「労働基準法」では、労働者保護の観点からもう少し具体的な「労働条件の明示」の規定がおかれています。「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の所定の労働条件を所定の方法で明示しなければならない。」(15条)と定められています。そして絶対的明示事項①労働契約の期間に関する事項②就業の場所及び従事すべき業務に関する事項③始業及び就業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無等④賃金⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む。)については書面により交付することが規則5条②③に定められています。但し「労働条件通知書」は雇用(労働)契約書ではありませんので、双方の署名、捺印は必要とはされていません。
〒541-0041 大阪市中央区北浜3丁目2番24号北沢ビル2F
e-mail info@office-ohta.com URLhttps://www.office-ohta.com/
TEL06(6221)3611 FAX06(6221)3711