The Business Support Report 2025年10月1日号
いよいよ無門関最後の公案になりました。第48則 乾峰一路(けんぽういちろ)です。無門関の公案の順番はあまり意味がないと言われていますが、最後にこの公案を持ってきたのは、無門和尚の修行者に対する叱咤激励の意味があるように思っています。この公案の主役は、雲門和尚と乾峰和尚の二人です。雲門和尚は、言うまでもなく、唐の時代の禅宗の5家(臨済宗 曹洞宗 潙仰宗 雲門宗 法眼宗)七宗(臨済宗の分派である黄龍派 楊儀派)の中で一番隆盛を誇ったと言われている雲門宗の始祖です。一方、乾峰和尚は、曹洞宗の始祖 洞山良价(とうざんりょうかい)禅師の下で悟りを開いた曹洞宗の流れの禅僧だそうです。今回の法話は、ある僧が、十方に分かれている仏様達は、一つの路を通つて涅槃に至ったといわれていますが、その入り口はどこにありますかと問いました。乾峰和尚は、杖を持ち上げて輪を書いて、ここにあるといわれました。納得の出来ない僧は、雲門和尚に同じ問いをしました。雲門和尚は、扇子を持ち上げて言われた。扇子は天上にのぼって帝釈天の鼻の穴に突き刺さった。東海の鯉が飛び跳ねると、雨が盆をひっくり返したように降ると説明された。これに対する雲門和尚は、一人は深い海の底に向かって砂塵を巻き上げ、もう一人は、高い山頂にに立って波しぶきをあげている。乾峰と雲門和尚の二大老とも共に涅槃への道を知っておられないようだ。一手一手に機先を制しても、真の勝負はまだまだ先と知れとコメントしています。この涅槃への路の話に「超訳 無門関」の著者ひろさちやさんは、二つの十円玉を回転させた例で説明されています。一方は火宅、一方は涅槃です。二つの十円玉を回転させると接点は移動しますが、接点は一つです。その意味では路はひとつですが、接点は無限にあるとも言えます。修行者は、先人の言葉に振り回されることなく、自由に、涅槃への道を探って修行に励むべし、というのが「乾峰一路」の公案の結論だというのが無門和尚のメッセージだと思います。
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