The Business Support Report 2025年6月1日号
今月の法話は、無門関第45則 他是阿誰(たはこれあたそ)です。東山演師祖曰く、「釈迦弥勒はなお是れ他の奴(やっこ)。しばらく道え(いえ)、他は是れ阿誰」という公案です。今月の主役は、東山法演禅師です。達磨大師から5代目の五租弘忍(くにん)禅師が居住した黄梅山において臨済宗の宗風をふるった為、五租山の法演という意味で、「五租法演」と呼ばれている宋代の禅僧です。山号は東山と言います。実は建仁寺も山号は東山です。公案禅の大成者として知られ「倩女離魂(せいじょりこん」や「牛過窓櫺(ぎゅうかそうれい)」等の難透な公案の作者としても有名です。弟子にも恵まれ、碧巌録(へきがんろく)を著わした圜悟克勤(えんごこくごん)や無門関の作者無門慧開(むもんえかい)なども法孫にあたります。東山演始祖という呼び方は、師匠であるが故です。この公案は、禅宗が、キリスト教やイスラム教などの他の宗教のように、絶対神(ゴッドやアラー)を崇拝するのではなく、仏心宗とも呼ばれる様に、心の中にある仏性を明らかにするため、座禅によって修行を積み重ねる教えであることが明確になっています。仏教の創始者のお釈迦様やお釈迦様の没後56億6千万年後に地上にあらわれ最高の審理を説くと言われている弥勒菩薩も他の奴(やっこ)下僕であるという。それでは、他とは、一体誰なのか?という問いです。いうまでもなく、他とは、我々自身の仏心です。白隠禅師の座禅和讃にも「衆生本来ほとけなり、水と氷の如くにて 水を離れて氷無く、衆生の他に仏なし」とあります、頌に曰く、他に弓引くこと莫(なか)れ、他の馬騎(の)こと莫れ。他の非弁ずる事莫れ、他の事知る事莫れ。というのが無門和尚の頌(ジュ)です。ここでの他は、他人ですね。他は、本則での「他」は本人でした。何故なのか?ネットでの解説には、そのような従来からの「他」の解釈に異議を唱える人もいました。その説によれば、真我が弓を引くわけでない。弓を弾くのは個人だ。となります。面白いですね。
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