The Business Support Report 2025年5月1日号
今月の法話は、芭蕉拄杖(ばしょうしゅじょう)です。芭蕉和尚が衆に示して曰く、なんじに拄杖子有らば、我なんじに拄杖子を与えん。なんじに拄杖子無くんば、我なんじが拄杖子を奪わん、という公案です。
今回の主役の芭蕉和尚は、潙仰宗(いぎょうしゅう)のながれを組む朝鮮半島出身の禅僧です。この機会に、唐代の禅宗の流派について説明したいと思います。唐代の禅宗は5家(臨済 曹洞 雲門 法眼 潙仰)と臨済宗の分派である楊岐派と黄龍派を加えた5家七宗に分かれて隆盛を誇っていました。日本の臨済宗は、栄西禅師が伝えた黄龍派以外は、楊岐派の流れを引いています。その中で、今日の臨済宗の開祖となる臨済義玄(りんざいぎげん)は、馬祖道一(ばそどういつ) 百丈懐海(ひゃくじょうえかい)の弟子である黄檗希運(おうばくきうん)の高弟です。芭蕉和尚は、同じく百丈懐海の高弟である潙山霊祐(いさんれいゆう) 仰山慧寂(ぎょうさんえじゃく)という潙仰宗のながれを組む禅僧だそうです。
拄杖(しゅじょう)というのは、禅僧が行脚の時に使う長い杖の事です。インドや中国の禅僧たちは、師匠を求めて全国の禅寺を行脚したそうです。その時に欠かせないのが拄杖です。 公案では、拄杖を持っているなら、拄杖を与える。拄杖を持っていないのならこれを奪う、という公案です。常識とは正反対の事を言っています。普通なら 拄杖を持っていないのなら 拄杖を与え、拄杖を持っているなら.それを.奪うとなるはずです。それでは 拄杖とは何の事なのでしょう。公案では全て自らの事として捉えます。そう考えると 拄杖とは、この身そのもの、仏心、仏性であると考える事が出来ます。 拄杖を持っている、自分が悟っていると考えている者には、その浅はかさを指摘し、悟り、仏心、仏性とは何たるかを教え、仏心、仏性を持っていないと考えている者には、心の中にある仏心、仏性を引き出そうというものです。
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