The Business Support Report 2025年7月1日号
今月の法話は、無門関第46則 竿頭進歩(かんとうしんぽ)です。石霜(せきそう)和尚曰く、百尺の竿頭、如何が歩を進めん。又た古得(ことく)曰く、百尺の竿頭に坐する底の人、然も得入(とくにゅう)すと雖(いえど)も、未だ真と為さず。百尺の竿頭に須(すべか)らく歩を進むべし。十方(じっぽう)世界に全身を現(げん)ずと。というものです。今回の法話は、悟りを得る為のものではなく、悟りを得た後の生き方を問題にしているものです。TKCの「日めくり」に「採用」されている法話なので、TKC会計人にはなじみの深い法話だと思います。先ず石霜山の和尚ですが、石霜山の和尚には、有名な二人の禅僧がいます。石霜慶諸禅師(807~888)と石霜楚園禅師(987~1039)です。最近の研究では、この公案の石霜和尚は、石霜楚園禅師だとされているようです。この石霜和尚には、座禅で眠気が出た時に、錐で膝をさして眠気を退散させたという逸話と、その話を聞いた江戸時代の中頃の日本の白隠禅師が、感銘を受けて修行に励んで、臨済宗中興の祖となった話が、修行道場で連綿と語り継がれているそうです。百尺は約30mです。その竿の先に坐する人というのは、悟りを開いた人です。ただそれだけでは未だ真の悟りではないというのが、禅宗、とりわけ臨済宗の立場です。そこから更に一歩を進むべしと説きます。臨済禅師のお説法に、「1人は孤峰頂上に在って出身の道なく、1人は十字街頭に在って、亦た向背なし」というのがあるそうです。前者は、誰も寄り付かない山の上にいるのであって、百尺の竿頭を意味します。そこにとどまるのではなく、十字街頭に立ち返って、世間に迎合せず、背を向けることもせずに、衆生済度の教えを説くことを大切にしています。悟りに縁のない私たちも、現状にとどまるのではなく、更に向上を目指さなければなりません。
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