The Business Support Report 平成29年2月1日号
世界では、米国のトランプ旋風やイギリスのEU離脱等の「想定外」の嵐が吹き荒れています。その根底に何があるのか。雇用を奪われる白人労働者の没落が排他主義を助長させているのでしょう。アベノミクスの成長戦略の柱として位置づけられていたTPPへのトランプ大統領の就任初日の離脱表明で、日本はその戦略の見直しが余儀なくされていますが、元々日本の独自核武装を企んでいる安倍首相を中心とする改憲勢力は、トランプの登場を千載一隅のチャンスと考えているに相違ありません。但しこのような自国第一主義(トランプがアメリカファーストと声高に叫ぶ姿に、世界のリーダーとしての姿勢は微塵も感じられません)、保護主義の流れがどのような形で、わが国の中小企業の経営に影響を与えるのかは、今後とも注視が必要です。
一方、この間国税庁は、富裕層に対する徴税強化の動きを強めています。国内ではマイナンバーの活用や新たな調書の導入、海外ではタックスヘイブン(租税回避地)を含めた各国税務当局との連携の強化などです。そのような流れの中で平成29年度税制改正の中に、相続税の基本通達の改定が盛り込まれています。法案が成立したら、適用は平成29年1月1日以後の相続から適用される予定です。第1は「広大地」評価の見直しです。旧来は広大地に該当すると面積だけで補正率が計算されましたが、今回は補正率と規模格差補正率が適用されます。具体案は未だ示されていませんが、実際の道路用地等の捨て地に近い補正になると見込まれています。第2は、非上場株式(自社株)の評価方法の変更です。類似業種比準価額を計算する場合の配当、利益、資産の比率を旧来「利益」を3倍していたのを同額の比率に改定されます。これは利益を圧縮することで、株価を引き下げる「株価対策」に対する対抗措置とされています。第3は、タワーマンションに対する評価方法の変更です。一部で高層マンションの最上階を相続開始の直前に購入し、相続後に転売することによる「節税策」が流行したことに伴って、階層毎に評価額(固定資産評価額)を変更する取扱いです。これらの動きにも注視が必要です。
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