The Business Support Report 平成29年6月1日号
TKC医会研の基本研修で、「医療機関の人事・労務」の講師をさせて頂いてもう4~5年になります。その席で、例年「就業前体操やQCサークル」は労働時間かどうか参加者に挙手で答えてもらっています。数年前までは、労働時間だとの答えと労働時間でないとの答えがほぼ半数づつであったのが、今年は労働時間だとの答えが大半でした。この問題のポイントは、「上司からの命令の有無」です。一昔前、「総評」という労働運動が盛んであった時期は、日本の労務政策も巧緻を極め、第2労務管理と呼ばれていた「インフォーマル組織」を通じた職場支配の研究が盛んに行われていました。例えば、サッカーや野球などの運動部や囲碁・将棋サークル、茶道、生け花サークルなどです。そのようなインフォーマル組織を通じて就業前体操への参加やQCサークル(生産性向上運動)への参加を事実上強制したのです。従って、裁判になっても、上司からの業務命令がないという事で、労働者側の訴えは退けられることが多かったのです。最近は、そのような労使の緊張感無しに、安易に、社長や上司が「参加」の業務命令を発し、当該労働者も退職まではそれに従い、退職後に労働基準監督署に訴え出て、労基からの「臨検」で、時間外労働賃金の未払いの是正勧告書が出されるケースが多いようです。今、マスコミを騒がせている「ヤマト運輸」の再配達や残業代未払い問題も、実は元セールスドライバーの二人が、未払い残業代二人合計577万円の支払いを求めた労働審判が3月23日に神奈川県の横浜地裁の調停で和解が成立しました。和解金額は公表されていませんが、ほぼ労働者側の訴えを認めたものと推定されています。これを全国のセールスドライバーに当てはめると社員7万6千人ですから数百億円に上るとマスコミで報道されています。全国の労働基準監督署の臨検による是正勧告額が、平成27年度で、9万2712人の百億円弱ですから、今回の「ヤマト運輸」の問題はその規模の大きさがわかります。電通の新入社員の自殺等労使問題は今、企業の存続にかかわる重大問題となっています。就業規則の作成や効率的な給料体系の作成等労務問題についてもどんどん担当者にご相談ください。
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