The Business Support Report 2022年10月1日号
「担雪埋井(たんせつまいせい)」とは、中国の宋の時代に編纂されたとされる禅宗の公案集「従容録(しょうようろく)」の中に出てくる言葉で、その意味は、井戸の中にせっせと雪を入れてもすぐに融けてしまい、一向に井戸は埋まらず、徒労に終わるということなのだそうです。意訳すると、「禅の修行というものは、たとえ雪がすぐに融けてしまったとしても、諦めないで繰り返し辛抱強く続けられるような者でないと勤まらない。」といった意味になるようです。つまり、無駄になることを承知で敢えてするところに、行為の尊さがあるという教えで、このことを禅宗では「無功徳行」、あるいは「無所得行」と言うのだそうです。同様の意味で、擔雪填古井(雪をにのうて古井をうずむ)という言葉もあります。私の事務所のセミナーで何度か講演をして頂いている臨済宗建仁寺の雲林院宗碩禅師は、雪をにのうて、古井をうずむ、と読み下されていました。日本では、臨済宗中興の祖白隠禅師の「徳雲の閑古錘、幾たびか妙峰頂を下る。他の痴聖人を雇って、雪をにのうて共に古井を填む」からの由来で解説されます。 税理士の世界では、TKCの創始者飯塚毅先生が、禅語として紹介され、主に、事務所運営、特に従業員の育成の要諦として強調されてきました。いずれにしましても、会社や組織の発展や事業承継を考える上で、根気強い努力の必要性を強調する事がポイントだと思います。我々団塊の世代も「後期高齢者」に突入し、色々な分野で、バトンタッチや事業承継が問題となっています。その際に、我々の世代の特徴なのかもしれませんが、後継候補者の欠点ばかりが目について、中々バトンタッチに踏み切れないリーダーもよく見かけます。しかし、それは、事業承継に失敗する「破綻」への道です。欠点ではなく、良い点を見極め、その特性を伸ばすための「担雪埋井」の努力が大切になってくると思います。己を殺して、組織や後継候補者を生かしてこそ組織の「発展」と「成長」があるのです。
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