事務所通信

タイトル:ビジネスサポート通信

The Business Support Report 2023年11月1日号

インボイス制度のスタート後の概要

 インボイス制度がスタートしました。おおむね順調な滑り出しだったと思います。問題点は、やはり免税事業者との取引でした。個人タクシーや建設事業者に囲い込まれている一人親方などは、インボイスを取得して課税事業者になる道を選択したケーㇲが多かったようです。免税事業者がインボイスを取得して課税事業者になった場合には、経過措置として令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間については、受け取った消費税額の2割を納付すればよい2割特例の制度が設けられています。以降簡易課税を選択すれば例えばサービス業で50%のみなし課税仕入れが認められますのでそれ以上の経理の負担はありません。一方、免税事業者を多く抱えているケースとして家主さん、地主さんの駐車場収入の取扱いのように、そもそも消費税が課税されて月額料金が設定されているのか、消費税施行以前から同じ料金であるケースも多いようです。又、出版業界では、印税の支払に際して消費税をオンして支払ってきたが、著作権者の多くが大学教授のような給与所得者であり、結果として免税事業者が多い場合に税法の経過措置(3年間は80%のみなし課税仕入れ、それ以降の3年間は50%のみなし課税仕入れ、以後は課税仕入れゼロ)に合わせて支払う際の消費税額の見直しを検討されている出版社もあるようです。画家と画廊の関係のように、売上規模が1000万円未満の画家が殆どである場合など改めて世の中で色々なケースが存在することも実感しています。宗教法人のインボイスの適用事業者を確認してみると、大本山は、おおむねインボイスを取得しているようですが、その他の宗教法人については大半は、取得していないようです。拝観料やお守り、おみくじの販売などについては、喜捨金が含まれており、対価性がないので消費税法上は、非課税でなく「不課税」とされています。駐車場の収入や、線香や絵葉書等の物品の販売などは課税事業として取り扱われます。個別事案とその対応については、監査担当者とご相談ください。

インボイス制度、65%が順調に対応も「懸念」あり9割

 帝国データバンクが10月上旬に実施した「インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対する企業の対応状況調査」結果(有効回答数1494社)によりますと、インボイス制度が、スタートして間もない時点での自社の対応状況は、65.1%が「順調に対応出来ている」と回答し、企業の3社に2社が順調にスタートを切っていることが分かりました。
 一方で、「対応がやや遅れている」は28.5%、「対応が大幅に遅れている」は3.1%でした。企業からは、「社員や取引先へ早めに対処していて、何とかスタートできた」(機械製造)とする声がある一方で、「インボイスの申請はしたけれども、番号の連絡等がない」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)や「振込手数料など、取扱いについて手探り状態のものが多い」(運輸・倉庫)といった声がありました。
 懸念事項の内容(複数回答)では、「業務負担の増加(他業務への影響含む)」が71.5%で7割となり、最も多くなりました。次いで「社内での理解・連携不足」(51.0%)、「仕入先への対応」(50.1%)が5割台で続いており、その他、「請求書の受領時のミス」(36.1%)などが上位に挙がっております。「仕入先などのインボイスの確認、免税事業者への対応でこれからが大変。業務量は増加する」(金融)など、事務負担の増大などに戸惑う声が聞かれました。
 令和6年1月からは新たに改正電子帳簿保存法の対応も必要になるため、事務の負担が重くなるとも言われ、インボイス制度が定着するには今しばらく時間を要すると思われます。その他、インボイス制度に対応するなかで企業の不安や混乱が深まるケースが出てくることも十分に予想され、課題解決に向けたサポートに加え、デジタル化の推進につながる仕組みづくりが急がれます。TKCシステムの活用(証憑保存機能、fintechなど)をご検討下さい。
「130万円の壁」への対応

 パート・アルバイトで働く人の年収が130万円以上になると、国民年金や国民健康保険料の支払いにより手取り収入が減ってしまうため、働く時間を調整するという「年収の壁」問題を巡り、厚生労働省は年収130万円を超えても連続2年までなら扶養にとどまれるようにするための施策「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しました。2025年に予定する5年に1度の年金制度改正までのつなぎ措置とし、2023年10月から実施されています。
 パート・アルバイトで働く人が、繁忙期に労働時間を延ばすことにより、収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、迅速で円滑な判断ができるように変更され、引き続き被扶養者認定が可能となります。
 厚生労働省によりますと、一時的な収入変動とは、以下のような理由により発生し、主に時間外勤務手当や臨時的に支払われる繁忙手当などを支給されることを想定しています。
・他の従業員が退職したことで、当該労働者の業務量が増加したケース
・他の従業員が休職したことで、当該労働者の業務量が増加したケース
・業務の受注が好調だったことで、当該事業所全体の業務量が増加したケース
・突発的な大口案件により、当該事業所全体の業務量が増加したケース
 一方で、基本給が上がった場合や、恒常的な手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合においては、一時的な収入増加とは認められません。
 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化は「一時的な事情」としての認定のため、同一の者について原則として連続2回までとなります。

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